Morph

Morphで変わるマーケティング戦略策定の未来:スポーツにおけるデータ活用 ⑧

2024-12-24
大道 元貴
Sales Developer

近年、スポーツ業界ではチケット購入データやグッズ購入データ、ファンクラブ会員データ、さらには試合中のパフォーマンスデータまで、膨大なデータが収集されています。しかし、こうしたデータが活用される場面は、いまだ限定的なことが多く、データの価値を最大限引き出すには至っていません。その背景には、データが分散して管理されていることや、それらを統合して活用するための専門的な環境が整っていないことが挙げられます。

Morphはこのような課題を解決するにあたっての最適なソリューションです。データの統合から分析、可視化までを行い、スポーツ業界の戦略策定を変革することができます。本記事では、Morphがどのようにこれを実現し、どのようにしてスポーツ業界に新たな価値を提供できるのかを解説します。

データの分散がもたらす一般的な課題

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どの業界でもデータ活用の重要性が叫ばれる昨今ですが、その活用にはいくつか共通の課題が存在します。まず第一に、多くの企業でデータが複数のシステムに分散して管理されていることです。顧客管理システム(CRM)、会計システム、マーケティングツールなど、データが異なる場所に保存されているため、それらを統合的に扱うことが難しくなっています。その結果、各システムから得られる部分的な情報に頼らざるを得ず、全体像を捉えた意思決定が困難になります。

また、データ分析に必要な環境や人材が整っていないことも大きな課題です。例えば、統計分析や機械学習などを駆使して高度な分析を行うには、専門的なスキルを持つ人材が不可欠です。しかし、このような人材を確保することは、容易ではありません。さらに、分析ツールも多種多様で、ツールの選定や運用に関する知識がなければ、十分に活用することはできません。

このような背景から、多くの企業がデータ活用のポテンシャルを理解しながらも、その実現に至っていないのが現状です。特にスポーツ業界では、後述する特有の課題がこれに拍車をかけています。

コントロール不能な変数によって売り上げに影響が出るスポーツ業界

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スポーツ業界が抱えるデータ活用の課題は、一般的な業界の課題に加えて、特有の困難さがあります。それは、スポーツのビジネスモデルがチームのパフォーマンスや天候条件といった、現場ではコントロール不能な変数に大きく影響を受けることに起因します。例えば、チームの成績が悪化すれば観客数が減少し、チケット収入や関連商品の売り上げにも直結します。一方で、シーズンを通じて成績を完全に予測することは不可能であり、こうした不確定要素がビジネス戦略に大きな影響を与えます。

このような状況下で効果的な戦略を立てるには、複数のデータを組み合わせてより高度な分析を行う必要があります。例えば、天候や対戦相手、チーム成績といった変数を考慮しながら、観客動員数や商品売上を予測し、それに基づいて動的な価格設定やプロモーションを展開することが求められます。こうした分析を実現するには、単なるBIツールでは不十分であり、カスタマイズ性や柔軟性の高い分析基盤が必要です。

さらに、スポーツ業界のもう一つの課題は、データが多岐にわたり、相互に関連し合っていることです。例えば、ファンの購買行動データと試合パフォーマンスデータを組み合わせることで、チームの成績がファンの購買意欲にどのような影響を与えるのかを分析できます。しかし、このような複雑なデータを統合して活用するためには、高度な技術と知識が求められます。

Morphで運用する理想的なデータ活用

Morphは、上記の課題を解決するために、統合データ分析基盤の構築や実務ベースの支援を通じて最適なソリューションを提供します。ツール提供だけにとどまらず、データコンサルティングサービスやエンジニアリソースの提供まで幅広くサポートします。 こうしたサービスを活用することで、スポーツチームはデータ活用の課題を効率的に克服し、データの価値を最大化できます。以下では、これらのソリューションを具体的にどのように活用できるのかをいくつかご紹介します。

ダッシュボードの活用

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一般的なBIツールは、手軽に分析を行い、データを迅速に可視化するために用いられます。ただ、BIツールはツール側が提供するGUIに依存するため、特定のカスタマイズや独自指標の実装が難しい場合があります。

一方、Morphでは、すべてコードベースでダッシュボードを作成するため、このような高度なニーズに対しても応えることが可能です。例えば、特定の業界に特化した要件や、複雑なデータモデルを反映させたり、業務プロセスに合ったUIデザインを構築したりすることで、完全にオリジナルなダッシュボードをカスタマイズすることができます。これにより、視覚的な魅力と実用性を兼ね備えたダッシュボードを作成し、意思決定の質を大幅に向上させることができます。

RFM分析で顧客セグメントを深掘り

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顧客データとグッズやチケットの売上データを組み合わせることで、RFM分析(最新購入日、購買頻度、購買金額の分析)を実施し、購買傾向や行動パターンを詳細に分析しています。これにより、類似した特性を持つ顧客をクラスターに分類し、それぞれのターゲット層ごとに適切な施策を立案できます。 さらに、このクラスターを男女別や年齢層別に分類することで、顧客セグメントをさらに深掘りし、ターゲットごとの具体的なニーズや価値観を明確化することが可能です。

例えば、以下のようなインサイトを得ることができます。

  • 20代男性の購入頻度が高い層は、最近購入した商品に対してのリピート率が高い傾向があるため、過去の購入履歴を基にしたメールマーケティングが有効
  • 購入金額が高いファミリー層は、購入頻度が少ない傾向が見られるため、購入回数を増やすために、割引クーポンや特典付き商品を提案する施策が効果的

このような分析は、顧客一人ひとりに寄り添ったマーケティングを実現し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に繋がります。

観戦行動と購買行動の相関分析

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顧客の観戦行動データと購買行動データを統合し、それらの相関関係を可視化しています。この分析によりクラブは各顧客の趣向やニーズをより詳細に把握することができるようになります。 この分析に基づき、以下のようなインサイトが得ることができます。

  • 来場頻度が低い顧客の方がグッズ購入額が高い傾向があるため、グッズ購入経験者でスタジアムに来場したことが無い顧客へチケットプロモーションを提案する施策が効果的
  • 最も来場頻度に対するエンゲージメントが高い層は、ユニフォームを購入する10代、20代の顧客層のため、SNSを活用したユニフォーム販促の施策やグッズ購入者特典でのチケットプロモーションが効果的

このような分析は、試合体験と購買体験をシームレスに繋ぎ、顧客の満足度向上と売上拡大を同時に実現するための重要な鍵となります。

データを生かした未来への第一歩

スポーツ業界が抱える複雑な課題に対処し、ファンとのつながりをより深めるためには、データ活用の視点が欠かせません。Morphは、分散したデータを統合し、見えにくかったインサイトを明確化することで、クラブの意思決定プロセスを革新します。チーム成績や天候といったコントロール不能な要素がある中でも、データに基づいた施策を実行することで、売上の変動を最小限に抑えつつ、安定的な成長を目指すことが可能です。

顧客セグメント分析や観戦行動の可視化は、クラブがファン一人ひとりに寄り添ったマーケティングを展開するための基盤を築きます。その結果、ファン満足度の向上だけでなく、LTVの最大化による長期的な収益基盤の強化にもつながります。

これからのスポーツ業界では、市場環境の変化や競争の激化に柔軟に対応するため、データ活用がますます重要になります。Morphの導入は、クラブがデータを活用し始めるきっかけとなり、その成果が未来を切り拓く力となることを目指しています。


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